こんにちは、リオです。今回は、これまでの航空業界に関する記事とは少し話題を変えて、生命保険について、詳しく解説していきます。このブログでは、資産形成に関する情報や失敗も共有したいと思っており、今回はその第1弾です。
はじめに
筆者はアクサ生命のユニット・リンクという変額保険を、一度実際に契約し、3年が経過した時点で解約しております。その主な理由は、諸費用として投資に回っていないお金が多過ぎると感じたためです。もちろん、契約書には非常に細かく書かれてはいるのですが、正直、当時の筆者は詳しく読んでおりませんでした。そんな筆者にも非があることは重々承知ですが、それでも同じような方を増やさないためにこの記事で、どういった費用がどのくらいかかっているのかを解説しようと思います。
先に断っておきますが、この記事は積立型の生命保険全般についての見解を述べたものです。具体名を挙げていますが、あくまで説明の簡明化のためであり、特定の会社・商品を非難・否定するものではありません。
ユニット・リンクとは
アクサ生命のホームページにはユニット・リンクについて以下のように記載されています。
死亡・高度障害保障を準備しながら特別勘定の運用実績によって満期保険金額・積立金額などが変動(増減)する変額保険
https://www.axa.co.jp/product/saving/unit-link/
メリットは、積立投資をしながら死亡時または高度障害状態になった時にも備えられることです。具体的には、当時26歳だった筆者が月々1万円積み立てた際の保険金が約900万円でした。ユニット・リンクのホームページやパンフレットには30歳男性が月々2万円積み立てた際の保険金が957万円と記載されています。生命保険なので、契約時の年齢や性別、既往歴等によって保険金は増減します。また積立額の最低額は月々1万円で、積立金額は1万円毎の増額が可能です。
諸費用の詳細
被保険者が負担する諸費用は以下の5つがあり、保険関係費の内訳として更に5つの費用があります。
- 保険関係費
- 保険契約の締結・維持および保険料の収納に必要な費用(以下1-1という)
- 特別勘定の管理に必要な費用(以下1-2という)
- 基本保険金額保証に関する費用(以下1-3という)
- 死亡保障などに必要な費用(危険保険料)(以下1-4という)
- 保険料払込免除に関する費用(以下1-5という)
- 運用関係費
- 解除控除
- 積立金の移転にかかる費用
- 年金払特約、年金払移行特約による年金支払期間中にかかる費用
1-1と1-5は保険契約開始時に支払う必要のある費用です。また3、4および5は保険契約終了時に支払う必要のある費用です。運用に関して月々かかる費用はその他の1-2、1-3、1-4および2です。これらについて詳しく解説しようと思います。
月々かかる費用の詳細
1-2と1-3には毎日かかる費用と、毎月かかる費用の2種類があり、いずれも支払わなければなりません。毎日かかる費用は積立金額に対して年率0.50%ですので、1ヶ月にすると0.042%です。毎月かかる費用は積立金額に対して年率0.25%ですので、1ヶ月にすると0.021%です。
1-4は生命保険に関する費用であるため、契約者の年齢や性別、既往歴等によって増減するものと思われます。具体的な数値や基準となる数値の記載は確認できませんでした。
2はいわゆる信託報酬と呼ばれるもので、運用する商品によって利率が異なりその利率が投資信託の純資産額に乗じて費用としてかかります。利率は最も低いもので年率0.072%、最も高いもので年率0.83%です。純資産額に応じてかかる費用なので、保険契約直後はほとんど無視できる小さな金額ですが、時間が経つにつれて金額が大きくなっていきます。
具体的に筆者の場合をお話しすると、月々1万円の支払いのうち、投資として積立てられていた金額は月々約7千円でした。つまり、1ヶ月で約30%の費用が発生していたと考えられます。この内訳を考えてみると、1-2と1-3の合計が約0.13%であり30%に対しては十分無視できる小さな値であること、および契約から2年で解約したため2もほとんど無視できる小さな値であったことを考えると、実質1-4が月々かかる諸費用の大部分を占めるといっても過言ではなくそれが支払いの30%であると考えられます。
ユニット・リンク=積立投資+死亡保険
つまりユニット・リンクに契約するということは、支払い額の70%で投資信託を購入し30%で死亡保険を契約していることと同義であると考えることができます。そしてこの死亡保険が、非常に割高な保険を契約させられています。
まず投資信託について信託報酬による比較が可能です。具体的な商品はホームページに記載されていますが、12種類の商品から選択することができます。これらの商品の信託報酬とネット証券で購入できる投資信託の信託報酬とを比較したところ、特に割高というわけではありませんでした。ただ、購入する投資信託の選択肢が非常に少ないことを考えるとわざわざユニット・リンクで投資信託を購入するメリットはありません。
一方で死亡保険は、ホームページにも例示されている通り、30歳男性が月々2万円の支払いで保険料が957万円です。この2万円のうち、30%の6千円が保険契約に回っていると考えると、月々6千円の保険料で957万円の保険金の死亡保険を契約していると考えることができます。生命保険比較サイトで、30歳男性が1千万円の保険金の死亡保険を契約しようと検索してみると、なんと、月々たった1千円前後の保険料しかかからないことが分かります。つまり5千円近くがアクサ生命に余分に支払われていることになります。
厄介な解約控除
ユニット・リンクでさらに気を付けなければならないのが、上記3の解約控除です。これは契約から10年未満で解約すると、運用額から積立額が引かれてしまうという非常に厄介な仕組みです。例えば、月々2万円の支払いの70%である1万4千円を年率3%で運用した場合、以下のような結果が得られます。
年数[年] | 積立額[円] | 利息[円] | 運用額[円] |
1 | 168,000 | 2,741 | 170,741 |
2 | 336,000 | 10,638 | 346,638 |
3 | 504,000 | 23,713 | 527,713 |
4 | 672,000 | 42,269 | 714,269 |
5 | 840,000 | 66,430 | 906,430 |
6 | 1,008,000 | 96,354 | 1,104,354 |
7 | 1,176,000 | 132,220 | 1,308,220 |
8 | 1,344,000 | 174,198 | 1,518,198 |
9 | 1,512,000 | 222,479 | 1,734,479 |
10 | 1,680,000 | 277,244 | 1,957,244 |
年利率3% 積立年数10年 毎月積立額1.4万円 積立前の元金0万円 課税方式非課税にて計算
10年未満で解約すると、上記表のうち利息の部分しか返ってきません。つまり9年目には運用額が173万円になっているにも関わらず、解約控除で151万円が引かれ22万円ほどしか返ってこなくなります。一方で10年目に解約すると、運用額である196万円が丸々返ってくることになります。
年末調整時の生命保険控除
ユニット・リンクの契約時には年末調整の際に生命保険控除が適用でき、節税につながるとの話を聞くこともあるかと思います。これに関しても解説していきます。
ユニット・リンクは支払った保険料の全額が生命保険に対する支払いであるとみなされます。よって月々2万円の支払いの場合、年間24万円が生命保険に支払われることになります。この時、所得税計算額から4万円、住民税計算額から2万8千円が控除されるのですが、勘違いしてはいけないのは、この合計の6万8千円がそのまま年末調整で返ってくる訳ではないということです。
詳しく説明すると記事が1つ書けてしまう内容量になるので詳細は割愛しますが、簡単に考えると4万円に所得税率20%をかけた8千円と、2万8千円に住民税率10%をかけた2千8百円の合計、1万8百円が年末調整で返ってと考えることができます。
1年間で1万円の節税と、月々5千円のアクサ生命への支払いを比較すると、ユニット・リンクを契約しても全く節税にはなっていないことが分かります。
まとめ
上述の通り、ユニット・リンクを契約するなら、ネット証券等で積立投資をしつつ自身に必要な額の死亡保険を個別に契約した方がトータルで安く済むことを解説しました。
ただこの記事を読んで、自分もユニット・リンクを解約した方が良いのではと思われた方もいるかもしれませんが、これは少し考える必要があります。それは解約控除があるからです。筆者も上述の解約控除のせいで、契約後2年間で24万円支払ったにも関わらず、解約するとたった2万円しか返ってきせんでした。それでもユニット・リンクを解約したのは、アクサ生命に支払う余分な費用を自身で運用すると差額の22万円以上になると考えたからです。このように解約控除で失う積立額と、ユニット・リンクを解約することで浮くお金を、自身で運用した際に得られる金額を比較した結果、後者の方が大きい方はすぐにでもユニット・リンクを解約するべきです。一方で前者の方が大きい方は契約後10年が経過したら解約する方が損失が少なく済みます。ユニット・リンクを解約することで浮くお金を運用した際に得られる金額の計算は以下のサイトを使うと便利です。
この記事を執筆し、同じような方を減らすためにブログを始めたといっても過言ではありません。この記事が少しでもユニット・リンクを契約するかどうか考えている方の助けになれば幸いです。これからも、資産運用に関する記事も更新していきますので、資産運用に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
それでは、Good Day!!