こんにちは、リオです。今回は以下の記事“パイロットになるための方法5選”でも言及したパイロットライセンスを取得できる高等学校(以下高校)や専門学校について、詳しく解説していきます。
概要
日本でパイロットライセンスが取得できる高校は、日本航空高等学校の1校しかありません。またライセンスが取得できる専門学校は、日本航空大学校操縦科の二年制コースおよび大阪航空専門学校の2校だけです。東京工学院専門学校航空学科にもパイロットコースが存在しますが、これは次の進路として航空大学校や海上・航空自衛隊航空学生などへの進学を目指すコースであって、この学校を卒業するタイミングでライセンス取得を目指すものではないので、注意が必要です。
またこの日本航空大学校は、国が設立した唯一の公的エアライン・パイロット養成機関であり筆者の母校でもある航空大学校(独立行政法人)とは別物ですので、こちらも注意が必要です。
ライセンスが取得できる高等学校
日本航空高等学校では、卒業までに自家用ライセンスの取得を目指します。この高校のメリットは他のどの選択肢よりも早い内に飛行機に触れることで、自分が今後も航空業界で働きたいのか、航空業界は自分には向いていないのかを早い内に判断することができます。
デメリットとしては授業料等が高額な割には、自家用ライセンスしか取得できないことです。自家用ライセンスしか取得できないので、高校を卒業してもパイロットとして働くことはできません。よって卒業後は事業用ライセンスを取得できる学校等へ進まなければなりませんが、そういった機関で自家用ライセンスの所持を要件としているところは1つもありません。入学時には他の学生よりも少しリードしているでしょうが、卒業する頃にはそのリードも微々たるものになっています。つまり高校で自家用ライセンスを取得することは、将来パイロットとして働くキャリアの上では全く意味はありません。
それにも関わらず、3年間の納入金は約600万円かかります。東京都内私立高等学校(全日制)の初年度納付金平均額が約96万円ですので、多く見積もっても3年間で約300万円しかかかりません。約2倍の授業料等を支払ってまで、キャリアの糧にならないことをするのはオススメできません。
大前提:フェイル(Fail)という概念
この後、ライセンスが取得できる専門学校について解説すると共にそれをオススメしない理由について解説していきますが、その大前提としてフェイル(Fail)という概念について説明します。
飛行機の操縦には、向き不向きがあります。それは決して”選ばれた人間だけがパイロットになれる”という意味ではなく、”パイロットを目指す人の中には、どうしてもパイロットに向かない人もいる“という意味です。ただ、そのどうしてもパイロットに向かない人に数百人の命を預けることはできないので、その人にはパイロットになるのを諦めて貰わなければなりません。そのどうしても向かない人をふるいにかけるために、航空業界では同じ審査に2度不合格になるともう二度とその審査を受けることができなくなります。つまり、パイロットを目指せなくなるということです。この2度目の審査に不合格になることをフェイルと呼びます。
航空会社に就職して、実際にパイロットとして働き始めるまで、このフェイルという概念は付き纏ってきます。万が一フェイルし、パイロットになれなかった時のことも考えて進路は選ぶべきですので、パイロットに特化した専門学校はオススメしません。
ライセンスが取得できる専門学校
日本航空大学校操縦科の二年制コースでは卒業時に事業用ライセンスと計器飛行証明を取得、大阪航空専門学校では卒業時には事業用ライセンスを取得します。大阪航空専門学校では卒業後に、希望者のみ約5ヶ月間の計器飛行証明訓練を受けることができますが、エアラインのパイロットになるためには計器飛行証明は必須ですので、ほぼ全員が卒業後の訓練も受けることになります。
これらの学校のメリットは他のどの選択肢よりも早くパイロットライセンスが手に入ることです。他の記事でもよく触れていますが、早くパイロットになれるということはそれだけ生涯年収が増えるということなので、大きなメリットです。
一方でデメリットは、万が一フェイルしてしまった場合に最終学歴が専門卒となってしまうことです。無事にパイロットになることができれば、最終学歴はあまり関係ありませんが、万が一パイロットになれない場合には一般企業に就職することになり、その際最終学歴が大卒と専門卒では待遇に大きな差が出てしまいます。費用は以下の通りで、パイロット課程のある四年制私大の授業料と大差ありません。それならばわざわざ専門学校を受験することは、オススメしません。
専門学校名 | 日本航空大学校(二年制コース) | 大阪航空専門学校 |
授業料 | 1,443万円 | 1,895万円 |
また日本航空大学校では、ANAやJALへの就職は難しい旨の記載が見られます。大阪航空専門学校でも、具体的な就職先は明示されていないものの、OG・OB紹介のページにANAやJALへ就職した人の紹介が書かれていないことから、大手航空会社への就職は難しいことが考えられます。つまり、大手航空会社に入りたいと考えている方にも専門学校および日本航空大学校への進学はオススメしません。
まとめ
ここまで、パイロットライセンスが取得できる高校・専門学校ついて解説してきました。まとめると、パイロットライセンスが取得できる高校・専門学校をオススメしない理由は下記の通りです。
- 高額な授業料等を支払っても、パイロットになるキャリアの糧にならない
- フェイルした場合に最終学歴が専門卒になる
- パイロット養成課程のある四年制大学と授業料等は大差ない
- 大手航空会社への就職は難しい
この記事が少しでもパイロットを志している方の手助けになれば幸いです。これからも、航空業界に関する記事も更新していきますので、航空業界に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
それでは、Good Day!!