こんにちは、リオです。前回の記事では積立型変額保険について、解説しました。今回の記事では、生命保険の契約時に、十分な説明がなされていなかったのではないか等と思った場合に、保険会社に契約の取り消しを求めて戦う際の具体的な方法を詳しく解説していきます。
消費者契約法に基づいた取り消し請求
消費者庁のホームページにも記載の通り、消費者契約法では一定の条件下での契約の締結は取り消すことができると定められています。この中の”不利益事実の不告知“を理由に取り消しを求めることにしました。不利益事実の不告知とは、具体的には以下のような場合です。
消費者の利益となる旨を告げながら、重要事項について不利益となる事実を故意又は重大な過失によって告げなかった。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/meeting_materials/assets/consumer_policy_cms107_220826_08.pdf
また取消権の行使には期限が定められています。以下のいずれか短い方を過ぎてしまうと取り消しを請求することができなくなります。
- 取り消すことができることを知った時から1年間
- 契約の締結から5年間
契約の取り消しを主張する相手
消費者契約法と命名されているくらいなので、まず生活消費者センターに連絡しました。生活消費者センターでは保険会社との仲裁などは行えないとのことで、金融庁に相談してみてはとの返答でした。
そこで次に金融庁の金融サービス利用者相談室に連絡しました。金融庁では個別の事案には対応できないとのことで、生命保険協会に相談することを勧められました。
生命保険協会に相談すると、まずは保険会社と交渉するように指示されました。そして交渉が上手く進まなかったり、そもそも交渉すらできなかったりした場合に改めて連絡するように指示されました。そうすると、生命保険協会から保険会社に交渉の場につくように申し入れをしてくれるとのことでした。
生命保険会社との交渉
保険会社と交渉するためにカスタマーサービスセンター(以下会話にてセンターという)に連絡しました。カスタマーサービスセンターでは非常にトンチンカンな返答しかされなかったので、そのやりとりの一部を以下に晒し記します。
生命保険の費用について十分な説明がされていなかったので、不利益事実の不告知を理由に契約の取り消しを求めたいんですけど。
それはできません。例えば車を買って1年後にやっぱり返品するので返金して下さいなんて主張は常識的に通りませんよね?
消費者契約法では取り消しを求めることはできると思うのですが間違っていますか?
その例えの場合だと車を買って1年後でも、当初説明されていた燃費と実際の燃費に明らかな差があるなら、返品を主張することは常識的におかしくはないのではないですか?
消費者契約法はわかりませんが、車の話はあくまで例え話なので車のことを言われても困ります。
生命保険会社のカスタマーサービスセンターのオペレーターが消費者契約法すら把握しておらず、だからこそ相手の例え話のレベルに合わせて説明をしたのに、「そんな話をされても困る」と突き返されたので、全く話にならないと思いその時は電話を切りました。
次に改めて生命保険協会へ連絡し、保険会社と話をしようと思ったが全く話にならず突き返された旨を伝えました。すると生命保険協会から保険会社に交渉の場につくように申し入れをしてくれました。
生命保険協会の申し入れから約1週間で保険会社から連絡がありました。筆者の主張は承知したので、契約時に十分な説明がなされていたか調査をするとの旨でした。その際に改めて、”仮に契約時に十分な説明がされていなかった場合には契約の取り消しは可能なのか”を確認しましたが、そのような場合には取り消しは可能であるとのことでした。
交渉の結果
保険会社から調査開始の連絡を受けてから約2ヶ月で、調査結果の連絡が来ました。結果は、契約時の説明は十分にされていた、とのことでした。当然納得はできませんでしたが、それを覆す証拠を持ち合わせていないので、泣く泣く受け入れることにしました。
生命保険協会では紛争解決(裁定)も行なってくれるのですが、過去に取り扱った事案の概要を見ると、証拠不十分により申立者の主張が棄却されている場合も多く認められます。当然と言えば当然ですが、申立者が説明が十分になされていなかった証拠を提示できな場合には、裁定に進むべきではないと言えます。
生命保険契約時に必ずしておくべきこと
保険契約時には、十分な説明がなされた旨が記された書面に署名をさせられます。しかし契約当時には思いつかなかった疑問が後から湧いてきたり、契約当時には分からなかったことが後から判明したりすることもあると思います。そのような時に非常に有効な手段が契約時の会話の録音をすることです。
契約時の会話を録音することを相手の了承を得ずに行なっても、違法ではありませんし、証拠能力を失うこともありません。ただ、先に了承を取っても良いでしょう。契約内容の説明が十分にされるように牽制ができますし、万が一録音を嫌がるような営業マンとはそもそも契約しない方が良いでしょう。録音を嫌がる=不適切な契約をしようとしている、と考えて良いと思います。
結論
生命保険会社に対して物申したいものの、保険会社に相談しても埒があかない場合には、一般社団法人 生命保険協会に相談すると良いです。
またその際に、保険契約時に十分な説明がなされなかった証拠を確保するために、保険契約時には録音をするべきです。
この記事が少しでも保険会社とのトラブルを解決する助けになれば幸いです。これからも、資産運用に関する記事を更新していきますので、資産運用に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
それでは、Good Day!!